紺色沿線

ダイヤ関連を中心に、相鉄について広く浅く。

《相鉄》 2021年春のダイヤ改正・日中編

昨日 2021年3月13日、相鉄線ダイヤ改正が行われました。

SNSなどを見てみると、利用する駅によってはっきり賛否が分かれているな、という印象を受けます。

改正内容の量が量なので、数回に分けて考察していこうと思います。

今回は日中編です。

近々朝夕のラッシュなどもまとめる予定です。

かなり長い記事ですが、最後まで読んでくださると嬉しいです。

 

目次

 

JR直通 各停

毎時2本設定されている日中の直通。現行ダイヤでは特急と各停で1本ずつでしたが、今改正で特急の直通がなくなり、30分間隔の各停2本体制になります。

便利になりそうですが、問題もあります。

昼間の直通特急廃止

昼間の直通特急は、肝心の海老名〜二俣川間での乗車率が1%を割り込む空気輸送状態。そのくせ西谷で本線快速を待たせるため、多方面から不評でした。

特急停車駅の海老名・大和にはすでに小田急があり、副都心エリアへの経路が確立されているため、まず利用が見込めません。その上通過駅利用者には使いづらく、直通特急は相鉄・JR直通線が伸び悩んだ一因でもあるでしょう。

これが消えたことで、相鉄沿線各駅から直通線が使いやすくなります。ようやく本来の目的に近づいてきました。

大きな一歩

日中の直通は各停に変わりましたが、朝夕のラッシュ時間帯の直通特急は残ります。

相鉄沿線は大部分が「住」の環境で構成されており、1日の利用のほとんどは朝夕の通勤帰宅ラッシュ時間帯に集中します。この時間帯の直通が各停になれば、直通線はより利用を拡大できそうです。

日中の各停化で大きな伸びが見られるとは思いませんが、朝夕の各停化に向けた大きな一歩になるのではないでしょうか?

海老名折り返しは1〜3分、遅延対策は?

現行ダイヤでは、往路か復路のいずれかを特急にすることで、海老名での折り返し時間を8〜9分確保していましたが、往復各停になったことで、折り返し時間は2分程度とかなりギリギリになります。そこで懸念されるのが遅延ですが、それなりの対策は取られていそうです。

注目したいのは西谷で直通各停と接続を取る特急に使われる車両。

西谷で各停海老名行と接続する特急海老名行は、海老名に毎時4分と34分に到着します。その後この車両は折り返しで、西谷で各停新宿行と接続する特急横浜行に充当され、海老名を毎時24分と54分に発車します。

直通列車の折り返し時間がタイトになった一方で、直通列車に関わる特急の折り返し時間が20分と、かなりの時間が確保されているのです。

遅延対策で重要なのが、相鉄での最低限の本数は毎時6本ということ。この本数を下回れば不便になりますし、上回った分はおまけ程度の扱いです。

例えば、「直通各停が5分遅延し、海老名折り返しが間に合いそうにないということで、急遽大和折り返しの措置を取る」とします。すると、相模大塚さがみ野・かしわ台では各停海老名行・その返しの各停新宿行が失われ、毎時6本を切ってしまいます。

ここで、特急をこの3駅に臨時停車させることで、3駅の最低限の本数が守られます。臨時停車による時間ロスは往復で5分程度。特急は海老名での20分の余裕があるため、十分対応しきれるのです。直通を西谷で打ち切ると片道7駅・14分のロスになりますが、それでも対応できます。特急の折り返し時間20分はパっと見バカ停ですが、大きな意味を持っています。

 

特急 は減便へ

前回改正で直通含め毎時4本にまで拡大された、海老名発着の特急。今改正で従来通りの毎時2本に戻されることになりました。

海老名発着同士の二俣川接続

現行ダイヤでは4本すべての特急が二俣川で各停と接続していますが、うち2本は海老名〜横浜で運行する、区間が被った列車同士での接続です。

これは急行や快速1本で済むところをただ各停と特急の2本に分けているだけの状態。それゆえどちらも乗車率が低く、さらに上りの場合、各停の客のほとんどが二俣川で特急に乗り換えていました。

これらの傾向から、この接続パターンを廃止して快速1本にまとめることで、実質2本の減便・効率化が図られます。(-2)

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直通特急の廃止

先述の通り、毎時1本あった直通特急は直通各停に置き換えられ、日中の運行はなくなります。(-1)

直通各停接続枠の増発

ここまで紹介した2パターンで特急は3本減ってしまっていますが、直通特急1本が直通各停に置き換わることで、直通各停〜横浜の動線を確保する必要が生じます。西谷で直通各停に接続する枠として、海老名〜横浜の特急が1本増発されます。(+1)

この一連の流れで、特急は現行の4本から3本減・1本増で、毎時2本に落ち着きます。

特急4本は過剰だった?

日中に特急4本というのは過剰だったという印象です。「減らされた」と言う人が多いですが、実際には2019/11改正前に戻っただけですし、毎時2本が適正な本数なのではないでしょうか?

特急よりも、途中停車することで区間輸送も担える急行や快速のほうが乗車率が高かったのもまた事実です。

海老名・大和の利用が多いとはいえ、みんながみんな横浜を目指すわけではなく、その中には相鉄小駅〜小田急の乗換客もけっこう含まれている、という広い視野で見ることも大切かもしれません。

 

いずみ野線 快速全廃

いずみ野線の日中の快速の運行がなくなります。

本線からのしわ寄せ

本線で各停と特急を快速1本に統合したことで、特急とともに各停2本分も失われました。

特急が減便される分には構わないのですが、各停を減便してしまうと、上星川天王町といった各停しか止まらない駅に最低限の本数(毎時6本)が確保できなくなってしまいます。

この失われた2本分の各停枠をいずみ野線に回したしわ寄せで、いずみ野線の快速が各停に格下げされることになりました。

これにより、いずみ野線の日中は全列車各停となり、横浜へ急ぐ場合は二俣川で本線の快速や特急に乗り換える必要が生じます。

日中に限らず、全体的にいじった部分のしわ寄せはほとんどいずみ野線に回っており、今改正でかなり不便になってしまいそうです。

直通線も来ない上、横浜への優等も失われたいずみ野線。利用者が少ないこともまた事実ですが、さすがにかわいそうな気がします。

 

急行 快速に格下げへ

日中の急行は快速に格下げされ、姿を消します。

ダイヤ上の扱いづらさ

前回改正で特急と快速の停車駅に「西谷」が追加された中、急行は二俣川〜横浜間でノンストップ運転を継続していました。

その人気は非常に高く、乗車率も良かったのですが、二俣川〜横浜間を急行は10〜11分で走破する力を持つのに対し、同区間を特急は13分、快速は15分かける中でその兼ね合いは難しく、先行の各停に詰まってしまったり、時間調整のために二俣川で2分ほど停車するシーンも多々見られました。

急行の扱いづらさはすでに露呈しており、今回の改正で快速に格下げすることで詰まりなどを解消しようとするようです。

速さが仇となってしまいました。

急行停車駅の利便性

急行停車駅のかしわ台・さがみ野相模大塚・瀬谷・三ツ境・希望ヶ丘。これらの駅では人によって賛否が分かれています。

やはり急行の最大の魅力は二俣川〜横浜間のノンストップ運転。この区間で止まらず、ドアが開かないことで乗降がないというのはかなり快適です。

快速化によってこの区間で3駅も多く止まり、さらにこの快適性が失われるというのは受け入れ難い、という人は多いです。

一方で、新ダイヤ全体を見ると、特急が減便されたことによって二俣川での特急乗換や西谷での特急待ちが減っています。横浜へ乗換なしで完全先行できる電車は増えており、急行の快速化は関係なしに、このダイヤ改正自体を高評価する人も多いです。

真っ二つに割れてるな〜という印象。快速のうち2本が急行だったりしたら最高なんですけどね。欲は言いません。

 

鶴ヶ峰 がめちゃくちゃ便利に

今改正での日中の優勝は鶴ヶ峰でしょう。

急行が快速に格下げされることで優等の空白が埋まり、鶴ヶ峰では快速4本と直通各停2本で10分間隔が構成されます。快速はそのまま横浜へ行きますし、直通各停も西谷で特急に接続するので、鶴ヶ峰では実質10分おきに対横浜の優等が来るようになります。また、毎時6本の各停も横浜まで追い越されることなく先行するので有効列車です。鶴ヶ峰での対横浜の有効本数は毎時12本になります。めちゃくちゃ便利になりそうですね。

西谷では停車する優等の本数こそ変わらないものの、鶴ヶ峰同様の理由で間隔が約10分で統一されるので、今より優等を使いやすくなりそうです。

 

おわりに

人や利用区間、駅によってかなり印象は分かれるだろうな〜、という改正でした。

本線系統はかなりすっきりとまとめられた印象です。

 

長い記事でしたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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